◉授業について
Q.きの高の授業の特徴を教えてください。
選択制の授業が多いことが特徴です。ほとんどの授業は学年に関係なく、自分の興味に合わせて選択できます。内容も珍しく、習ったことを実施する体験学習や本を読む、プレゼン、話し合いなどが多くを占めています。また、英語や数学などは習熟度別にクラスを分けるといった方法が取られています。
教える教師と生徒の距離が近いのも良いところでしょう。一方的に教えられるのではなく、質問などにも心よく答えてくれます。限られた時間で深く、納得できるように授業が行われています。自分の苦手な範囲に戻ったり、先に進んだり、自分の伸ばしたい科目を勉強できます。だからでしょうか、きの高生は学ぶことに対して貪欲にみえます。(陸人)
Q.英語ができなければ入学できませんか?
入試に英語のテストはありますが、必ずしもできなければ入学できないわけではありません(中学校の英語のレベルがあると良さそうです)。この学校におけるグローバル化とは、英語を話せるようになることだけではなく、多様な価値観を知ることです。また、英語の授業は4つのクラスに分かれており、最初のクラス分けテストで各々のレベルに合ったクラスに振り分けられるので、授業についていけなくなることもないと思います。
しかし、二年生になると海外研修でイギリスへ行くので、英語ができた方が得なのは確かです。向こうで色々な方と交流する際、自分の思っていることを相手に伝えるのに英語はとても役に立ちます。その楽しさを知れるのもこの学校の特徴なので、最初から話せる必要はないですよ。(真輝)
Q.「プロジェクトX」ってなに?
社会系の選択授業です。2022年度は、「プロジェクト日本」「土と炎から見た世界」「音楽文化を探る」「農業から見る日本」の4つがあります。各プロジェクトがそれぞれのテーマについて考えを深めていきます。テーマについて調べて、お互いの意見を聞き合ったり議論するだけでなく、時にはやきものを作ったり、畑で野菜を育てたり、演奏したりと体験も通して学びます。
月曜日は7、8時間目に、水曜日は11時から16時過ぎまでと、たっぷりプロジェクトの時間があります。年に一度は一週間のフィールドワークにも出かけます。前期と後期の終わりには、プロジェクトでやってきたことをプレゼンし合う発表会があります。生徒がもっとも主体的に動く、きの高の目玉授業です。(玉雄)
Q.「個別プロジェクト」では何をするの?
この授業は目標を自分で設定し、それを自分で達成する授業です。最初に設定する目標は途中で変わったりしても構いませんが、担任とその目標でいいか話し合って決めます。人によってしていることは様々で、学校がある橋本市を盛り上げようと動いてる人や、ゲームを作ってる人、韓国語を勉強している人もいます。
「それじゃあ成績はどうつけるの?」そんな質問が出てくると思います。毎回の個別授業が終わると担任に今回の授業では何をしてどうなったかなどの進捗状況を報告します。その内容と学期末にある「個別発表」できの高のみんなに成果を発表し、自己評価を担任の大人が見て最終的な評価を決めます。(周平)
Q.芸術のクラスはありますか。
毎週木曜日に、芸術選択という選択式の授業があります。ムービー・ディレクション、表現研究、アトリエ、ダンス、ウッドターニング、アンサンブル入門の計6つのクラスがあります。
ムービー・ディレクションはプロの演出家が、映画の基礎から教えてくれる授業です。自分たちで脚本から撮影、編集まで全て自分たちで行います。学期末に上映会もします。
表現研究は劇を通して表現をすることを学ぶ授業です。自分たちでシナリオから探し、役決め、小道具・大道具作り、立ち稽古などをしていきます。講師の方から教えてもらいながら、発表するところまでやり通します。学期末には発表をしています。
アトリエの今期のテーマは「写真」です。カメラの使い方から教えてもらい、様々な技法を教えてもらうことができます。写真以外にも油絵や墨で絵を描いたりもしています。
ダンスは元プロダンサーだった方からダンスの基本を教えてもらいます。表現をするために必要な柔軟や筋トレもします。音楽に乗せて体を自由に動かす楽しさを体験します。
ウッドターニングは木の角材から器を作るクラスです。機械に木材をセットし、削って器の形にしていきます。削っている時の感触はとても気持ちがよく、和気藹々とみんなで楽しく授業が進んでいます。機械も本格的で、他の学校では滅多に見ない授業だと思います。
アンサンブル入門は楽器が初めての人から得意な人までみんなでクラシックなどを演奏します。それぞれが楽器を担当し、みんなで曲を作り上げています。学期末に数曲を発表できるように励んでいます。(功太郎)
Q.一般の教科もありますか?
あります。英語と日本語は全学年必修です。それに加えて一年生は数学、地理、理科(生物)、現代社会、二年生では一年から引き続き数学を学び、歴史(世界史、日本史のどちらかを選択)と理科(化学、物理)、心理学を学びます。三年生は時事問題、歴史、環境の授業があります。
授業形態はさまざまで、教科書を使うこともあれば、大人が作ったプリントを使うこともあります。また同じ教科でも年度や学年によって担当の大人が変わるので、さまざまなスタイルの授業を受けることができます。例えば英語の授業は週に三回あり、それぞれ担当の大人が違います。英会話、英語の物語や伝記を読む、文法を学びそれを使って英文を書く、ニュースや洋楽の聞き取りをするなど、バラエティー豊かな授業を楽しめます。(あさひ)
Q.宿題は大変?
いわゆる宿題は出ませんが、授業によっては課題が出ます。例えば、テストの代わりに提出したレポートで評価をつける授業では、授業中にレポートを書く時間を取ることはあまりなく、放課後や週末を利用して書き上げないと間に合わないというケースが多くあります。毎日そのような課題が出ることはありませんが、期末評価ウィークが近くなると、自主的に寮で勉強したりと自分に宿題を出す人も見られます。(玉雄)
Q.テストはあるの?
テストはあります。きの高は前期と後期の2学期制のため、学期末にテストがあります。内容は授業ごとに違い、筆記からレポート作成、英語でのプレゼンテーションまで形式は様々です。テストウィークの週は学校や寮でもプレゼンの練習などをしている人が多くいます。(功太郎)
Q.評価はつきますか?
はい、つきます。評価はA~Fの6段階があります。期末評価ウィークでのテストや普段の授業態度で評価がつきます。評価をつける理由は進学や就職に必要だからです。ちなみに授業を1年間のうちの4分の1以上を欠席すると最低評価のFがつき、留年してしまうこともあります。(玉雄)
Q.フィールドワークとはなんでしょうか。
きの高の「フィールドワーク」には二種類あります。一つは、一週間の授業がすべてプロジェクトになる週のことです。年に1度11月にあり、この一週間を使って自分たちの活動をさらに深めるべく、お出かけに行きます。どこも行かずに学校でプロジェクトをすることもできます。
そしてもう一つは、個人で出かけることができる制度の意味の「フィールドワーク」です。こちらは授業がある日に、きの高で扱っていない興味がある講演会や授業でやっていることを深めるために出かけても出席扱いになる制度です。その日の自分が受ける授業の大人に承諾のサインをもらい、大人の会議に通ると行くことができます。(玉雄)
Q . 海外研修とはどこで何をするのですか。
高校2年生は、夏になると約1ヶ月イギリスにあるキルクハニティに滞在します。キルクハニティはきのくにができるきっかけになった学校のひとつです。今はもう閉校になってしまいましたが、子どもの村が買い取り、毎年たくさんのきのくに生が足を運んでいます。
そこで英語を学んだり、イギリスの料理を教えてもらったり、生徒が物語を考え英語で脚本を書き、衣装を手作りし、現地の人たちの前で披露したりします。それらを通して、日本ではなかなか味わうことのできない他国の価値観や、雰囲気などを知ることができる授業です。
キルクハニティだけにとどまらず、一週間ほどイギリス各地を見てまわる旅行にも行きます。知りたいこと、見たいもの、行きたい場所を生徒たちで出し合い、長い話し合いをへて旅行の行先を決めます。これらの経験やイギリスに行くまでの話し合い、レポートなどが単位として評価されます。
話し合いやレポートで苦労することもありますが、きの高生が3年間でいちばんと言っても良いほど、楽しみにしている授業です。イギリスから帰ってきたそばから「キルクハニティに帰りたいなぁ」という声がたくさん聞こえます。(そら)
Q.卒業発表とはどのような発表ですか。
卒業発表は高校3年生が「きの高で学んだこと」をテーマに一人ずつ発表するイベントです。毎年行われており、テーマは同じでも内容が全員違うところが醍醐味です。学年問わず、多くのきの高生や保護者の人が楽しみにしています。3年生は自分の発表内容以外にも聞いている人が飽きないような工夫も考えないといけません。年によって様々な工夫が施され、それも楽しみの一つとなっています。(功太郎)