◆やった~!ツリーハットが完成!
ついに、ツリーハットが完成しました。昔の足場の横にあたらしいものが完成し、それぞれをつなぐ3つの階段も無事に固定されました。下からものを運べるエレベーターやターザンロープも取りつけ、子どもなら誰もが一度は思い描いたような場所ができました。帰国までの時間が少ないのでプロジェクトはもちろん、放課後や日曜日、嵐のような天気の日にもカッパをきてせっせと作業をした成果です。みんな一様に自分たちの仕事に満足そうな表情でした。
そして、なんと、最後の3日間は交代でハットに泊りました!寝袋をもって移動するのは夜の9時30分。スコットランドの気まぐれな天気に悩まされてきたけれど、この3日間だけは星空が広がりました。まわりは真っ暗だし、とても寒いし、小さなろうそく1つに火をともし、身を寄せ合って寝ていました。きっと忘れられない夜だったことでしょう。
そして、不思議なことがひとつ起こりました。泊った子たちに感想を聞いてみると、みんなが口をそろえて「真夜中にゴリラの鳴き声がした」というのです。ヒツジやウシや鳥はまわりにいても、キルクハニティにゴリラがいるとは聞いたことがありません。子どもたちはいったい何の声を聞いたのでしょうか。
◆ますますイギリスが好きになる!
せっかくのイギリスでの時間をよくばりに使おうと、滞在中に3回あった週末は必ずどこかにお出かけしました。2回目はグラスゴーのサッカー博物館とルーラル・ライフ・ミュージアム(rural life museum)へ、3回目は世界一有名なうさぎ「ピーターラビット」のふるさとである湖水地方へ行きました。
サッカー博物館では国際試合も行われている大きな競技場を見学させてもらいました。プロの選手が使っているロッカールームやウォーミングアップルームを見せてもらい、サッカーの好きな男の子たちはとくに大興奮でした。ルーラル・ライフ・ミュージアムは、いわば「田舎ぐらし博物館」です。昔からの農具や生活道具が展示してあり、農場もあります。農場には家畜もいて、間近に見るブタやウシに「かわいい~!」と喜びながら、そおっと触れていました。
湖水地方では気持ちのいい青空の下、ミニSLに乗りました。ミニといっても本物の蒸気機関車で、運転手がときどき鳴らす汽笛の音やすこし石炭臭い煙もほとんどの子がはじめての体験でした。また、大人からビアトリクス・ポターが自分の財産で湖水地方の莫大な土地を買って、美しい自然を守ろうとしたこと、その意志がナショナル・トラストによって受け継がれて、長い間ずっと大切にされていることを聞き、ますますイギリスが好きになった子もいたようです。
そしてお出かけの最後には、TESCOというスーパーでみんな買い物をしました。週末に自分で食べるおやつやおみやげなど、じっくり考えながら買い物を楽しんでいました。
◆パーティー
キルクハニティを去る前日はさよならパーティーをしました。大人VS子どものサッカーゲームやドラゴンチェイス、お菓子まきもしました。ボンファイヤー(焚き火)をし、サイエンスのときにつくった熱気球をあげ、ごちそうを食べて、宝探しをして、イングリッシュの時間に練習した英語の劇や歌、あっという間に楽しい最後の一日は終わりました。なんてよくばり!
滞在中、感じたことを原稿に残しています。この紙面では伝えきれないこ
とがまだまだたくさんあります。帰国後なんらかの形で発表するチャンスを用意したいです。お楽しみに。
◆ツリーハットづくりに大忙し!
ツリーハットをつくると決めて、最初にみんなでしたのは、どんなデザインにするのかを絵に描くことでした。今あるツリーハットを安全に、そしてより楽しく遊べる場所にするのが目標です。書きあがった22このデザインにはいろんなアイディアが入っていて、そこからみんなで決めていきました。
一本の長いはしごでハットまでいけるようにする、ロープを垂らす、お茶がのめるような場所をつくる、ブランコをつける、5階建てにする、ロープを使って下から荷物があげられるようにする等など。話しあった結果、今ある2段のちょうど中間あたりに足場をつくり、それぞれを結ぶ階段も新しくつくって一番上の
ハットまでたどり着けるようにしようと決まりました。
階段を担当する子たちは高さを調べ、階段の長さや角度を決めていました。はしごなら簡単ですが、階段なので、頭を使ってきっちりつくらないといけません。長さが足りなかったり、角度があっていなかったりするとやり直しです。部屋の床にチョークで実際の大きさを書いて調べたり、ピタゴラスの定理を使って
計算したりしながら進めました。水曜日は放課後も使い、丸一日かけてりっぱな階段が完成しました。
柱の作業も忙しく進んでいます。電信柱のように太い丸太にほぞを彫り、大きなドリルで穴をあけてボルトで固定します。みんなでロープをひっぱりながら2本の柱を立てて喜んだのもつかの間、のこりの2本も急ピッチで仕事を進めています。
一番上のツリーハットの修理もしています。外れていたドアをつけ直し、壊れていた窓も修理して、今日は床がすべらないようにブラシで床の苔をこすり落としていました。ツリーハットには手すりなどはなく、足がすくむような高さです。ですが、見晴らしのいいあの場所で、鳥のさえずりを聞きながらすごす時間はど
んなに気持ちよく素敵でしょう。残された時間は多くはありません。みんながこの場所で楽しめるように頑張っています。
◆Cooking,Science,Sport,English・・・
現地のスタッフの授業も楽しんでいます。クッキングを教えてくれるのはメアリーさんです。小さい子のグループはイギリスのお菓子を教えてもらいました。メアリーさんは英語しかしゃべらないけれど、よく聞いたり、見たりしながら楽しそうにつくっていました。焼きたてのお菓子をほおばり「すごくおいしい!」
とみんなうれしそうです。
大きい子たちはメイン料理を教えてもらいます。1回目はMeatloaf(ミートローフ)、2回目はKedgeree(キッジュリー)でした。つくった料理はその日の夕ごはんとしてみんなでいただきます。どちらの料理も「また食べたい!」と大好評でした。
サイエンスとイングリッシュを教えてくれるのはアンドリューさんです。サイエンスではキルクハニティの植物をつかって草木染に挑戦しています。好きな植物から染め液をつくり、今はその中に浸しているところです。イングリッシュはよく使うあいさつを教えてもらうグループと英語の劇に挑戦するグループに分か
れています。劇は最後のパーティのときに発表する予定です。どんな劇になるのかわくわくしています。
ガビンさんのスポーツも人気です。ガビンさんが手入れしてくれているグランドの芝生は柔らかく、晴れた日には裸足でスポーツを楽しみます。ほとんどの子が始めてするスポーツですが、ことばは必要ないらしく、子どもたちはルールを理解し、とても楽しんでいます。
◆ここから始まったユースフルワーク
キルクハニティの授業の中で、朝の9:00から30分間ユースフルワークがあります。ここで生活をしているみんながお互いに気持ちよくすごせるように仕事
をするのです。大人ももちろんします。例えば玄関から階段までをそうじする、教室の整理や片付けをする、薪わりや、ニワトリの世話なんていうのもありま
す。いままでのところ、みんな自分の担当した仕事をきちんとしています。「~が使いっぱなしで困る」とか「入る前には芝を落として入ってほしい」など仕事
をしていて困っていることが話題になることもあります。みんなで気をつけあって、さらに楽しく快適なキルクハニティ生活が送れるといいな。
みんな元気です!
南アルプス子どもの村の19人の子どもとかつやま子どもの村の子ども3人、合わせて22人の子どもたちが、一昨日、無事にスコットランドに到着しました。
はじめて飛行機に乗った子が、
「うわあ、すごい、人がちいさくなってくぅ〜!」
「雲の上にいる。雲の上は晴れかぁ」と興奮する声が聞こえてきます。
「What would you like to drink ? 」「えっと、お茶ちょうだい」
「Fish or Chicken ?」 「すいません、どんなやつかみせて」
なかなかリラックスした受け応えを小さな子がしているのを見守り、飛行機は飛びつづけました。
成田を出発して17時間後、ようやくエジンバラ空港に到着。めざすはキルクハニティ。スコットランドの南西部に位置する施設までは、車で3時間かかります。
長旅であったこともあり、到着して2日間は休息しています。本日は、学校のルールを確認したり、プロジェクト活動について話し合いをしたりしました。
ベンチ完成!
キルクハニティの敷地内には、眺めのよいポイントがたくさんあります。
そんな「お気に入りの場所にベンチを置きたい!」と集まった7人。
話し合って頑丈で、5人くらい座れ、座るところが背に向かって深くなり、肘かけがついているベンチをつくることになりました。
使う道具の中で子どもたちが興味をもったのはカンナです。
イギリスのカンナは引くのではなく押すのです。「同じ道具なのにおもしろいね」と感心していたようでした。
また、そのカンナはなんとガビンさんのおじいさんが使っていたものだそうで、古いのですが手入れがされていて性能は抜群。
ここキリーでは本当に道具を大切にしているのだと実感できました。
さて、思い通りのベンチができてみんな大満足。置いたところは敷地内の池が見える芝生の上でした。
「また来たら最初に座りたいね」と話していました。ベンチの裏にはちゃんとみんなの名前が書かれています。
ベッドの下のひきだしづくり
「荷物を入れるところがないから、へやがちらかってこまる」という切実な願いから、
ベッドの下にひきだしをつくることになりました。箱なら今までもつくったことがあったので、楽勝かとおもっていたのですが、
しっかりしたものをつくろうとすると案外むずかしい…。
ガビンさんが教えてくれた、
「ざいもくを切るのもくみあわせるのも、いちばん大事なのは90度」というアドバイスをもとに、
ゆがみをみつけては、材木を切りなおしたり、ねじをはずして、もう一度うちなおしたりします。
好きな色を選んでペンキも塗りました。さいごに引き出しの裏にサインもしてできあがりです。
今回の引き出づくりの中で、「キャスターがほしい」「板が足りない」など、子どもたちの要望をガビンさんに伝えることがありました。
そんなとき、「木のタイヤならあるよ」「木の取っ手なら買わなくても、持ってるんだけど・・・」そんなやりとりがありました。
これまでだったら、「ちょっとイメージと違うから、買ってきて~」と頼むところです。
でも、キルクハニティがとても小さな貧しい学校だった話を聞いていた子どもたちは、柔軟です。
「木の取っ手もかわいいかも。2つつけたら使いやすいと思う」「木のタイヤもいいよね」。
箱の大きさも、あと8cmだけ小さくしたら、新しい板を買わずにできると気づいた子どもたちは、
「少しくらい小さくなってもだいじょうぶだと思う」と、最後の一つはサイズを少し小さく変更しました。
そんなお金の工夫も詰まった引き出しです。キルクハニティに来たときは、ぜひ使ってみてください。
マンゴネル(投石機)大会
2m先の高さ40cmの塔の上に立つ人形を打ち落とすというマンゴネル大会。
サイエンスの時間だけでなく、休み時間も使ってつくり上げてきた力作がそろいました。
みんな人形めがけて球を打ちこんでいきますがなかなか当たりません。そんな中、みごと命中させたのは4人。
「練習では何回も当てたのに」と悔しがっている子もいました。
むずかしい課題でしたが、工夫して挑戦する楽しさをアンドルーさんのサイエンスで教えてもらいました。
サイエンスの授業で制作した投石機のミニチュアをつかって大会を開きました。右の4人は優勝者たち。
パペットシアター
火曜日に、みんなで人形劇を見に行きました。
キルクハニティから2時間ほどはなれた町に、家族で運営しているパペットシアターがあります。
劇場も人形も手づくりですが、とても本格的なものでヨーロッパ各地で公演しているそうです。
演目は「船乗りシンドバット」千夜一夜物語のシンドバットの冒険です。
当然すべて英語でしたが、わかりやすくておもしろいお話でした。
「こんなの日本に帰ってやってみたい!」そんな声もきこえてきました。
お別れパーティー
9日の夜に、お世話になったアンドルーさんとガビンさん、メアリーさん、それにとなりのサムさんも来てくれて、パーティーをしました。外でたき火をしたあと、ライブラリーでパーティーがはじまりました。代表の子が、英語でスピーチをして進めていきます。教えてもらった英語の歌や日本の「もみじ」を歌って、最後にはみんなでAuld Lang Syne (日本の「蛍の光」の原曲)を歌っておわりました。もちろんたくさんの食事も用意して、おいしく楽しく過ごしました。
堀さんからは「歌が思ったより上手だったよ」とほめられ、そしてアンドルーさんやガビンさんからも
「今回のグループは、みんなとてもいい子でしたよ」とほめられました。
みんなどんな思いで日本に帰るのでしょうか。のこり少ないキルクハニティでの時間を惜しむように、パーティーを楽しんでいました。
お別れパーティ みんなで記念写真 北九州のみんあともまた会えるといいね!
キルクハニティでの生活も後半になりました。みんな楽しそうに遊んでいます。
31日のハロウィンには、カボチャのランタンをつくって、きもだめしをしました。
でも、それだけではありません。そうじや洗たく、毎日の食事の用意と、いそがしく過ごしています。
プロジェクト
プロジェクトでは、それぞれの活動がすすんでいます。南アルプスも北九州も「自分たちのくらしを楽しくしよう」というものづくりのクラスなので、キルクハ
ニティにのこるものをつくっています。眺めのいいところに置くベンチ、見晴らし台、隠れ家的な小屋(ハット)、部屋のベッドの下に置く引き出しなどです。
でも、プロジェクトとしてつくる時間は2週間ほど。帰る間際になって完成では楽しめないので、1週間ほどで作り上げなくてはいけません。ガビンさんからイ
ギリスやキルクハニティの基本的な作り方を教えてもらって、さっそく取りかかりました。時間の足りない分は放課後や休みの日を使っています。
レッスン
キルクハニティの大人のレッスンがはじまっています。当然みなさん英語で進めています。
大人はよけいな通訳や手助けはしません。それでもみんな楽しんでいる様子です。
アンドルーさんのサイエンスでは、小さな投石機(マンゴネル)をつくっています。
2メートルはなれたところにある高さ40㎝の塔のうえの人形を打ち落とすために、工夫典付きです。
ガビンさんのスポーツは、あいにく雨の日が多く、室内(ステーブル)ばかりです。
でも、ガビンさんの楽しい英語とゼスチャーで、いつのまにかみんなニコニコして運動が得意ではない子もおもいっきり楽しんでいます。
スコティッシュダンスも楽しみました。
メアリーさんのクッキングは、お菓子や夕食をつくっています。
メアリーさんもやさしく教えてくれて、英語のレシピももらったので、日本に帰ってからもつくれそうです。
ほかにも、アンドルーさんから英語の歌を教えてもらっています。
犬のレスキューセンターを見学
犬が好きな子が多いということで、月曜日に犬の保護センターへ行ってきました。そこは、引っ越しや家の事情で飼えなくなった犬や野良犬などを保護して、新しい飼い主をさがすというボランティアの施設です。
「かわいい」「この犬ほしい」と1つ1つのゲージに入った犬をみてよろこんでいました。そのあと、犬の診療所や食事をつくるキッチン、死んだ犬のモニュメントなどを見学してまわりました。
こんな施設が寄付で運営されているところが、イギリスの社会のすごいところです。
「人生の10分の1、自分の財産の10分の1は、社会やみんなのために使う」という精神がいきづいているそうです。
そんな一面をみるいい機会でした。(阿部)
いよいよプロジェクトが始まりました。プロジェクトは北九州と南アルプスの学校ごとに進めています。
はなしあいでは、小屋、すべりだい、ベンチ、テーブルなど意見が出ました。
期間が限られていることや、雨が多い天気のことも考えて、棚とベンチをつくろうと決まりました。景色のいいところにおけるベンチと、自分の荷物をしまえる棚です。
自分たちが今住んでいる部屋では、にもつが散らかって困っています。これを入れられるものがほしそうです。実際に行ってみてみることになりました。なかにはあわてて片付けにいく子も・・・。
部屋をみんなでみてみると、ベッドの下のスペースが目につきました。
「ここに、ひきだしのみたいなのがあればいいのに」と意見が出て、なるほど便利そうだということになりました。
つくるものがベンチと引き出しにきまって、午後からはアンドリューさんとがビンさんと一緒に、材木やさんに買い出しです。
イギリスの材木はあらかじめ防腐剤で処理がされているそうです。雨が多い国だからとのこと。お店の中に入ると見たことがないような道具も売っていました。くぎの形ものこぎりの形も日本のものとは違います。
「これってなににつかうのかな?」「おもしろい~」
うれしいことがありました。
北九州子どもの村の中学校の認可が下りました。
一緒に来てくれていた堀さんが日本に帰って行ったのも、この審議会があったためです。認可が下りてすぐに、ほりさんから電話がありました。
こんかいのキルクハにティ子どもの村は、北九州子どもの村の子どもたちも一緒に参加しています。北九州子どもの村はスタートして5年目です。2年目の私たちからしてみると、子どもたちの様子を見ても刺激を受けるところがたくさんあります。議長さんの議題の進め方にしても、ユースフルワークへの姿勢にしても、子どもたちにとってもとても、いい経験になっています。
そんな北九州子どもの村の子どもたちが待ちに待っていた認可です。来年の四月にはスタートできることになりました。
10月27日の朝早くに堀さんから電話がありました。北九州の中学校設立が正式に認可され、来年4月には「北九州子どもの村中学校」が開校するとのこと。
さっそくみんなに報告しました。当然みんな大喜び。アンドリューさんやガビンさんもいっしょに喜んでくれて、お昼にお茶で乾杯を、おやつにはアイスクリームで乾杯をして祝いました。
北九州子どもの村では、中学校校舎の建設がすでにはじまっています。子どもたちが帰るころには、工事もずいぶん進んでいることでしょう。
どんな校舎ができるか、ワクワクしています。北九州の子どもたちが喜んでいる顔を見ていると、こちらもとてもうれしくなりました。
こうして、どんどん子どもの村の輪がひろがっていきます。もうすぐ、南アルプスの中学校のスタートも、こうやっておいわいできますように。(金原&阿部)
北九州子どもの村中学校が正式に認可されたぞ〜、かんぱ〜い
キルクハニティは、本当に素敵なところです。
子どもの遊びごころをくすぐる場所がたくさんあります。
それだけではありません。
ここは、子どもの村のルーツでもあるのです。
ここの、校長先生だった、ジョン・エッケンヘッドさんは、ニイルの影響を受けて、スコットランドに自由な学校を開きました。体験によって学び、子どもたちが家族のように助け合って暮らす、そんな学校です。しかし、残念ながら、1997年閉校になりました。イギリス政府から「ツリーハットはこわしなさい」「ユースフルワークは授業としては認められない」などの指摘を受け入れるくらいなら、ジョンさん自身の手でキルクハにティスクールをしめることにしたいと言ったのです。
その場所が、いま、子どもの村の子どもたちが滞在できる場所となりました。
思い切って、きのくに子どもの村が貯めてきたお金でキルクハにティを買い取ったのです。他の人に買われてしまったら、もしかすると、ホテルになってしまうかもしれない、取り壊されてしまうかもしれない、近づいて見られなくなるかもしれない。キルクハにティというあたたかい場所が、そんなことにならないようにするための、思い切った決断でした。
キルクハニティの中をぐるっと回りながら、北九州ときのくに子どもの村の校長のまるちゃんから、たくさんの話を教えてもらいました。
「きのくにが買い取ってからも、この上にはジョンさんとモラグさんがずっと住んでいたんだよ。ジョンさんたちは出て行くよって言ったんだけど、キルクハニティをつくったのはジョンさんだから、ずっと住んでいてくださいって堀さんが言ったんだよ」
「ジョンさんは、戦争に絶対反対の人だったんだよ。イギリスの敵の国の子どもを生徒として受け入れたし、戦争にも行きたくないって言ったんだよ。周り中の人が行かないといけないって出て行くときに、絶対行かないって言い張ったんだ。かわりに、道路工事をしなさいって言われたけど、それも嫌だって言ったんだって。その道路は戦車が通るための道だから。そんなジョンさんをよく思わない村の人たちは、あるとき、車に乗っていたジョンさんを引きずり出してなぐったりけったりしたらしい。それでも、戦争は嫌だって言い続けた人なんだよ。向かいの牧場は、そのとき、なぐった相手のひとりの人のだよ。その人も、このあいだ、とうとう亡くなったから、もしかすると、天国でけんかしてるかな?」
「この大きな木から、そっちの大きな木まで、ロープがつながっていて、下に降りなくても、木から木へ渡れたんだって」などなどなど。
ジョンさんに直接会ってお話を聞いて、当時の話を知っているまるちゃんから、たくさんの話を教えてもらいました。見たことがないくらい真剣な表情で聞いている子もいます。自分たちがここで滞在できる意味を体じゅうで感じることができました。